みそ汁じいさんの歯ぎしり

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「お前も死ぬぞ」

 大阪 岸和田市流木町にある称名寺の前住職、出口湛龍さんのお書きになった"あっけら閑という本の冒頭に書かれていました。がんを患った湛龍さんの死を受けとめる心の葛藤や過程が記されています。

 1月19日、利用者さんのおばあさんのお通夜に所長、施設長、私の三人で行ってきました。私には初めての宗旨のお通夜でしたが、おそらく故人の長年の御友人だったろう導士さんが読経の後、おばあさんがどんなにほがらかで、前向きで、信仰を大切にされ、自分の事より他人の事を思って暮らしていたか等、話されました。その朴訥な話し方と内容に感銘を受けました。帰りにいただいた会葬の礼状は、お元気だったおばあ様が突然お亡くなりになりさぞかし気ぜわしい中で書いた文だと思いますが、読んでいて御家族の深い悲しみが伝わってきました。そうした家族の皆様方に大切に育てられた利用者さんが通っている私達「いしじ」の責任の重さを改めて感じました。

 私は今年79才になります。いくつかの持病があり病院通いの日々です。死は私にとっては身近にある現実です。残され与えられている生命を精一杯の力で生ききりたい。利用者さんに喜んでもらえるように毎朝みそ汁を作りつづけたいと思います。うろたえることなく立派な死に様をみてもらいたい。妻(所長)より一日でも早く死をむかえたい。そう願っています。そう言いながら毎晩お酒ばかりのんでいます。いつまでたってもやっぱりダメですネ。ボクは。

 「お前も死ぬぞ」 多くの場合、最終的には一人で生きていかなければならない利用者さんが、どんな生活の力を身につけなければならないか。その為の私達「いしじ」の支援の在り方はどうあるべきか。次回お話できたらと思います。